
ZEHは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、省エネ基準の一つ。「ゼッチ」と読みます。
住宅で使用するエネルギーより創りだすエネルギーが大きく、収支すると消費量がおおむねゼロになる「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味です。
2020年にはハウスメーカーが新築する注文戸建住宅の半分以上がZEHとなりました。脱炭素社会に向けた次世代の家として、ますます注目が高まっています。
目次
「高断熱」「省エネ」「創エネ」が三本柱
ZEHに欠かせない要素は3つ。
ZEH住宅として認定を受ける基準になります。
「高断熱」「省エネ」で消費を抑え「創エネ」で利益を得て、エネルギー収支ゼロ以下を目指します。
高断熱 高断熱・高気密な構造、高性能な断熱材や断熱・遮熱窓の採用
省エネ 高効率な設備の導入でエネルギー消費を抑える
創エネ 太陽光発電などでエネルギーを創る

ZEHがもたらすメリット
- 高断熱・高気密化で家の中の温度差がなくなり、いつも快適。遮音性もアップ
ヒートショックのリスクが低減し安全性が高まる - 徹底的な省エネにより光熱費が下がる
太陽光発電で得た電力を使用できる
余った電気を蓄電池に蓄えたり電力会社に売電することで利益を上げることも - 蓄電設備を備えれば、停電時に備蓄の電力を使えるので災害に強い
また住宅の資産価値の維持が期待できます。
ZEHの問題点(デメリット)
- 一般的な住宅と比べて建築費用が高くなりがち
- 太陽光パネルの設置や断熱性の徹底等で外観のデザインが制限される
- 太陽光パネルや高性能設備に維持管理費がかかる
デメリット軽減のために
国や自治体の補助金制度を利用して初期費用の負担を減らす
ZEHにはさまざまな補助金制度があります。
「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」環境省
「次世代ZEH+(注文住宅)実証事業」経済産業省
「地域型住宅グリーン化事業」「こどもエコすまい支援事業」国土交通省 など
補助額や交付条件がそれぞれ異なりますので、各省庁のウェブサイト等で最新情報を確認してください。
参考:令和4年度のZEH関連の補助事業について(経済産業省 資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html
不安や疑問を相談できるハウスメーカーを選ぶ
ZEH住宅は、ZEH住宅を建てることを認定された工務店やハウスメーカー「ZEHビルダー」の登録会社で取り扱います。しっかり話し合えるZEHビルダーを選ぶと良いでしょう。
また、太陽光パネルの発電量は、季節や天候、地域、環境で左右されるため、思うように電力を得られないことがあります。日照時間や周囲の環境を事前に調べることも大事です。
ZEHの種類
ZEHには種類があり条件が異なります。ここでは簡単に説明します。

ZEH+(ゼッチ・プラス) ZEHより高性能な条件
Nearly ZEH+(ニアリー・ゼッチ・プラス) Nearly ZEHよりも高性能な条件
次世代ZEH+ ZEH+に、指定の設備のいずれか1つ以上の導入が条件
ZEH(ゼッチ)
Nearly ZEH(ニアリー・ゼッチ) ZEHの条件を緩和したもの
ZEH Oriented(ゼッチ・オリエンテッド) Nearly ZEHの条件をさらに緩和したもの
国によるZEHの推進
2014年「エネルギー基本計画」において「2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指す」が閣議決定。さらに2021年10月の「第6次エネルギー基本計画」で以下の目標が定められました。
・2030年度以降、新築される住宅についてZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す
・2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す
環境省・国土交通省・経済産業省の3省が連携し、ZEHの推進に向けて取り組んでいます。
まとめ
お得で快適な生活を実現するZEH。
初期費用やメンテナンス費用がかかるなど問題点はありますが、長期的なメリットを産む期待の住宅と言えそうです。